ふくげんりょくしょうしつかく【復原力消失角】

復原力が消失する時の傾斜角度。これ以上傾くと転覆する。一般的な外洋ヨットでは100°から、大きいもので130°くらい。これが180°、すなわち真っ逆さまになっても起きあがる船をセルフライティングという。逆にマルチハル艇では180度で安定してしまう。

一般的なモノハルの外洋ヨットをモデルに復原力消失角130度で描いてみたのが上の図。復原力曲線とも。
ヒール角50度位までは復原力は大きくなっていきやがて縮小していくが、90度(横転)状態でもまだ復原力は正の値を保っている。130度以上ヒールすると復原力はマイナスになり、より傾き完沈に至る。
ヨットが傾く要素は風と波。風の力だけで横倒し以上に傾くことは少なくその先は波によるケースが多い。
負の復原力は小さいので完沈するほどの波があれば逆に波の力で復原するケースも多いが、この間マストが折れたり船内に浸水するなどするため、復原しても水船となり再帆走できず乗員もダメージを受け遭難、というケースも。

復原力消失角が大きいほど堪航性が高いといえるが、復原力曲線、復原力消失角は計算で求めるもので、ヒール角度によって前後のトリムも変化するうえデッキ形状も複雑で、転覆に伴う船内の重量物の移動やその間の浸水、マストのダメージなど様々な要素が加わるため、正確な数値を出すのが難しい。
復原力消失角は、艇の堪航性の1つの目安と考えよう。

タイトルとURLをコピーしました