風を受けて前進推力とするための帆のことだが、バーゲンセールなどsale(販売)をセールと書くので、こちらヨットの帆(sail)は「セイル」と表記することもある。
現在のヨット界では「帆(ほ)」という呼称はまず使わないが、「帆走(はんそう)」は一般的に使われる。
帆布(はんぷ)は綿や麻で織られた厚手の布で、帆船時代の帆に用いられたところからこう呼ばれるようだが、その後ポリエステルなどの化学繊維の織物(縦糸と横糸を交互に組み合わせた布地)に表面加工した専用のセールクロスに取って代わられた。“帆布”という言葉はバッグなどの実用品の素材として用いられるのみで、セールクロスを帆布と言うことはない。さらに現在では織物以外に高張力のハイテク繊維をプラスチック素材でラミネートしたものなど、セールクロスは布地というより特殊なフィルムという感じになっている。
セールはマストに展開するイメージだが、カイトボードでは凧(kite)になるし、飛行機の翼のような骨組みに外皮を被せた硬質のウイング・セール(wing sail)もある。
そもそも、英語の“sail”は名詞としてのセール(帆)の他に、船そのものや動詞として「帆走する」「航海する」という意味もあり。あるいは潜水艦の司令塔(と呼ばれる船体から上に突き出ている部分)もsailと、用法は幅広い。
キャンバス【canvas】
帆布。現在はセールの素材として帆布が使われることはないが、オーバーキャンバスというと、セールのエリアが大きすぎることをいう。
メインセール【mainsail】
マスト後方、ブームの上に展開するセール。俗称はメンスル、メイン、メンなど多数。メンチャンという言い方もきわめて一般的であるが、由来は不明。ジブはジブチャンとはいわない。
ジブ【jib】
マストより前に展開するヘッドセールの中で、三角帆をジブと呼ぶ。「ジブ・セール」とはいわない。三角というのは、ミッド・ガース(中央部の幅)が底部の1/2以下であるという意味で、これより大きなものはスピネーカーなどになる。ジブのうち、メインセ...
スピネーカー【spinnaker】
追い風用の左右対称セール。「スピン」、「カイト」、「シュート」、「丸いの」など呼称のバリエーションは多い。あるいは「コンマ・ナナゴ」、「コンマ・ゴ」といったクロスの厚みや、「オールパーパス」、「ランナー」などのデザインの違いをそのまま用い...
セール・ドライブ【sail drive】
セーリング・クルーザーのプロペラ駆動の方式。エンジン本体から真下に伸びたドライブの先にプロペラが付く。シャフト・ドライブに比べて水中の抵抗が少なく、ドライブ部分が翼状になっているので僅かながら揚力も得られる。スターン・チューブがないので漏...